虹の翼
ーsideアリオスー
「美、夜」掠れたケイオスの声。……やはり、そうだったか。呼ばれたレーゲン公爵令嬢も
「圭人?」と驚いた顔をしている。
あの皇帝にしか伝えられていない、ほぼ神話と言っていいお伽噺が事実で―――――。
と、なると
「ッ!!ヴァルカン公爵、レーゲン公爵、直ちに結界を張れ!!」ケイオスとレーゲン公爵令嬢がお互いに手を繋いだ瞬間、爆発的は魔力が執務室を包んだ。
インク瓶や万年筆が魔力によって作り出された風によって踊るように宙を舞う。
此方は手が出せない為、持久力勝負だが、堪えるしかない。……皇帝執務室が狭いと思えるほどの数多の魔法陣。手を出した途端、此方に悪影響が出る可能性が高い。
どの位堪えていたか分からない程、結界に気を取られていた。
あのお伽噺が事実なら兆候は絶対に来る。ケイオスを信じない筈は無い!
兆候を見逃さない為にケイオスの左手の手の甲を虹色とそれに付き添う形の空色。……やっと、だ。
今までの暴風が嘘のように魔力が消えるとプツン、と糸が切れたように膝から崩れ落ちる2人。
「取り敢えず、2人を休ませる。……仮眠室を使おうヴァルカン公爵、レーゲン公爵も付いてこい。」そう言ってから2人を抱き上げると皇帝執務室の奥にある仮眠室を気絶している2人を連れていくとダブルサイズのベッドに2人の繋いでいる手を離さないように寝かせた。