【続】清華魔法学園〜未来選択編〜
この人はバカだ。
私のためだけに自分の魂でさえも犠牲にして。
「会いたかった。また、笑顔で生きている紗久に。そのためだったら例え自分の魂を犠牲にしても構わなかったんだ」
お兄ちゃんが私の傍によって私に優しく優しく触れる。
壊れ物を大事に大事に扱うように。
「バカ……お兄ちゃんのバカ」
コツンと力なくお兄ちゃんの広い胸をぐうで軽く叩く。
それでも私は正しい道を行くしかないんだ。
「そこの小さい黒い箱がこの世界の核だ。そいつを壊せばこの世界も壊れ、全ての者が解放される」
お兄ちゃんが指さす先に見えるのは辞書くらいの小さな箱。
こんな小さな箱がこの偽りの世界の核だなんて少し拍子抜けだ。