ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

さすがに、休みなしで働いているわけはないと思うので、

休みの日も家を空ける癖がついているだけでは、と思うんだけど。


「おはよう」と声をかけると、ようやく私に気づいたお父さんが顔を上げ、

「ああ、もうそんな時間か。おはよう」と返した。


なんだろう、いつもより声に張りがなく、顔色は冴えない。


「もしかして体調が悪い? 大丈夫?」


「そうかな。ちょっと寝不足かな」


お父さんはメガネを外すと、眠そうに目を擦った。


「ずっと仕事してたの?」


「ああ、ちょっと溜まっててな」


「若くないんだから、ちゃんと寝なきゃダメだよ」


そう言うと、お父さんが笑った。


「……笑うような話なんてしてないんだけど」

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