ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「そうだな、ごめん。茜に心配されてるって思うと嬉しくなってしまった」
「し、心配なんてしてないし。そんな顔じゃ出かけられないんじゃないかと思っただけよ」
嬉しいなんて言われて、どんな反応を返したらいいのかわからない。
戸惑いの方が大きくて、可愛げのないことを言ってしまう。
「いや、大丈夫。コーヒーでも飲んで目を覚ますよ」
立ち上がってコーヒーを入れにいく背中を見ながら、
私はなんとも言えないモヤモヤとした気持ちに胸を覆われていた。
そこまでして出かけたい理由があるのだろうか。
体調がすぐれないのなら、予定を変更して家にいればいいのに。