ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
「大皿が見当たらなかったから、今日は桶を器代わりにして、盛り付けだ」
ごはんを均等に広げ、上から錦糸卵をかける。
「漬けにしたマグロは親父さんが帰ってきてから、ご飯の上にのせて、海苔の細切りをかけたら完成だ」
「海苔って切るんですか?」
崇さんが出してきた海苔は細切りにして売っているものではなく、大きなやつだ。
「先に切ると湿気るかもしれないから、これは食べる直前にキッチンばさみで切ればいいよ」
崇さんが作業台の下の引き出しを開けて、キッチン用のはさみを取り出す。
包丁ではなくはさみで切るなら、崇さんがいないときでも何とかなりそうだ。
ちらし寿司の桶にラップをかけた。
「今の時点でも美味しそうですね!」