ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー
肩がすぐそばにある。さっき吸っていたタバコの匂いだろうか。苦いような香りがする。
男の人と二人きりなんだ。
手を伸ばす崇さんに豆腐を任せると、崇さんはパックの淵を包丁でザクザクと切っていく。
変に意識してしまう自分をごまかしたくて、「すごいー!」とテンション高めで言ってみる。
「このくらい常識」
と言いながらも、崇さんは照れくさそうだった。
崇さんに豆腐の切り方を教わり、手を切らないように慎重に切り分けると、お鍋に入れた。
お鍋が沸騰すると、火を止めて、味噌を溶き入れる。
崇さんが私とは違う作業を始めると、私たちの間には少し距離ができ、緊張がほぐれた。
すると心に余裕ができたのか、手伝いというよりは本当に作り方を教わっていることに気づく。