君が思い出になる前に…
先客
 中間テストが無事終わった。本当に無事って感じ…。

放課後。
忘れてた日記、書かなきゃ。どんなこと書いてたんだっけ?どれどれ…。
うわっ!恥ずかしい事お互い書いてたなぁ。
どうしよう、なに書こうか。
どんなふうに絵美の事、思ってたんだろう…。
その辺はあんまり思い出せない。
でも今は15歳なんだから少年っぽく、まぁ適当にそれらしく書いておこう。

「ねぇ…ちょっといい?」
誰もいなかった教室なのに、突然声を掛けられた。
振り向くと加賀紀子が立っていた。
「ん?なに?」
机の上のノートを隠すようにしまった。
「昨日の事なんだけど…、なんであたしがぶつかるって、分かったの?」
真剣な眼差しで問いかけてきた。
「なんでって…」
そこまで言って考え込んだ。
本当の事言っても、信じてもらえないもんなぁ。
なんて言おう。
「えっと…、窓から見てたらサッカーやってた男が前も見ないで走ってきたから…。とっさにぶつかるんじゃないかと思って…」
適当に答えてしまった。
「うそ!だってあの男子、あたしのすぐ後ろで遊んでたのよ…。ほんの5mくらい後ろでよ。それがなんで二階の教室から跳んでこれるの?直線でだって、あたしとあなたの距離は20m以上あった。とっさの判断でも、4倍の距離があるのに無理でしょ?ましてやあなたは、階段を降りて遠回りしてるんだし。もっと有り得ないでしょ?なのになんで?」
鋭い!
確かにその通り。無理だよなぁ。
窓から見てたとき、おれの視界にその男なんて入ってなかった。
< 30 / 200 >

この作品をシェア

pagetop