君がいなくなって
そーちゃんは冷静さを装いながらも、手に持ったお箸を落とした。

私の言葉で明らかに動揺している。

お義父さんはそれを見てクスッと笑って

「良かったな、そう言ってもらえて。
総一は真由ちゃんの事、どう想っている?」



なんだか。

お互いの誘導尋問みたい。



「…俺は最初、なんて考えの甘い子なんだって思ったよ」

ため息まじりにそーちゃんは私を見た。

うっ…その視線が冷たい。

「でも。
守りたくなるんだ。
拓海の彼女とかそういうのはもう自分の中にはなくて。
その笑顔にホッとするし、いつも愛に溢れていてずっと一緒にいたいと思う」

そーちゃんは照れもせず、私に向かっていうので、私は頭のてっべんまで赤くなった。



「そっか。なら大丈夫だ。
お互いがそう想っているなら俺みたいな失敗はないはず」

お義父さんは少しだけ安堵の笑みを浮かべた。



「俺は、総一のお母さんと結婚したとき、ただお腹の子供が可哀相で。
同情だけで結婚して、総一を結局、苦しめてしまった。
…色々、悪かったと思っている」

そーちゃんは切なそうに視線を下に落として

「俺は父さんには感謝してるよ」

そう言って、私を見ると

「…今でも俺がマシンに乗ってサーキットを走れているのは父さんの会社がスポンサーについてくれているから」
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