君がいなくなって
聞けば。

そーちゃんが家を出て、柏原家で居候を始めた時。

継母はそーちゃんに対して一切の援助をしないようにお義父さんに言った。

そんな訳にいかないので、パーツなどの部品を製造、販売しているお義父さんの会社が、K−Racingのスポンサーになって、そーちゃんにかかるお金をずっと出していたらしい。

更にお義父さんの会社は1、2を争うくらい大きいスポンサーとの事。

しかもそれはあくまで会社で動かしているお金だったので継母も気がつかなかった。

会社の事は一切ノータッチだったから。



「総一も、部品の開発に参加してくれているし、俺はそんなにしているつもりはないよ」

とはお義父さん。

そういうさりげない優しさ。

何となく誰かに似ているなと気がついて勝手に口から出ていたのは

「血は繋がっていなくても、それを超えた親子なんですね。
お義父さんとそーちゃんって」

その言葉に二人は顔を見合わせて、笑った。
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