リアル☆タイムスリップ
「古高を捕えたのは俺たちだってわかってるだろうしな。町で長州の奴らと鉢合わせしたら、最近は斬り合い必至だ」

 どうやらここしばらく山崎を見ないのは、近藤らも気になっていたらしい。
 正宗は少し考えた。

 山崎が捕えられるという歴史はない。
 この辺りのエピソードは多々あるが、確か池田屋で潜入捜査していたという説もあったはず。

「……心当たりがあります故、私が探してみます」

 正宗が言うと、近藤も土方も驚いたように顔を上げた。

「何? 何か掴んでいるのか?」

「いえ、まだ掴んだ、というほどではないので、山崎さんに相談しようと思ってたところで」

 何故黙っていた、と言われないよう、先に正宗は予防線を張った。
 どこで逆鱗に触れるかわからないのは、ほとほと心臓に悪い。

「実は、木屋町の四国屋という料亭に、倒幕派の面々が出入りしているようで」

「そこが奴らの根城か!」

 すぐにでも飛び出して行きそうに、近藤が片膝を立てる。

「待てよ。そうとも言えん。そろそろ決起しようというときに、そんな外部にわかるような行動をするか?」

 土方が冷静に近藤を宥める。
 やはりこの男は見るところが違う。
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