王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です

そんなギルバートの心中を思うと、リリアンは彼のわがままを全部受けいれてあげたくなってしまう。

グラスに彩り豊かに飾られた人参のスティックを一本つまみ、はじっこをパクリと口に咥えた。そうしてギルバートの前に差し出すと、彼は嬉しそうにぎゅっと目を細め、逆側のはじにパクリと食いついてきた。

カリカリと音をたててギルバートの顔が近づいてくる。もう何度もキスはしているのに、まるでゲームのような雰囲気で唇を寄せられてくると、たまらなく恥ずかしい気持ちになってきた。

「も、もう無理!」

真っ赤になった顔でリリアンは人参を噛み切り、ギルバートから顔を逸らしてしまう。

青い目をまん丸く見開いたギルバートは残った人参を口に収めてごくんと飲みこんでから、唇を尖らせて拗ねた。

「あとちょっとで唇まで届いたのに……」

「食事中にふざけちゃ駄目! お行儀が悪いわ!」

焦って取り繕いお説教するも、どうやら言葉を間違えたようだ。

「じゃあ食後ならキスしてもいいんだね? 約束だよ、食後の甘ーいキス」

赤裸々な宣言をされてしまい、リリアンは頬を熱くしたまま慌てて何も言い返せなくなってしまう。

そんな彼女を愛しさの溢れる眼差しで見つめ、ギルバートは顔を近付けわざと吐息が耳に掛かる距離で囁くのだった。

「可愛い、リリー。そんな顔されると、きみのこと食べちゃいたくて我慢出来なくなりそう。絶対リリーの肌って甘くて柔らかいよね」

心臓が加速を始めてしまったリリアンは彼の肩を押し離し、寄せられていた妖艶な顔を無理やり遠ざける。
< 155 / 167 >

この作品をシェア

pagetop