秘書と野獣
「どうした。エロイことでも考えてたか? ウサギ」
「___た、猛さんっ?!」
おう、と言いながら入って来たのは正真正銘猛さん。
「えっ…どうしたんですか? 今日は遅くなるって___」
「のはずだったんだけどな。予定より早く終わったから迎えに来た」
大きな猛さんの背後からひょこっと顔を出した莉緒はこれまたにやけ顔で。
「とかなんとか言っちゃって~。早くおねえちゃんに会いたくって俄然頑張っちゃったんじゃないですか~?」
なーんて冷やかしまで飛ばしてきて。
「もう、莉緒ったら…」
「まぁな。なんか問題あるか?」
「「 えっ? 」」
怒るでもなく、茶化すでもなく、極々真顔であっさり肯定した猛さんに姉妹揃って動きが止まった。
「いい子にしてたか? ウサギ」
「…っ」
わしゃわしゃといつものように髪を乱されて、やめてください! とお決まりのセリフを言わなきゃなのに、ボボボッと爆発しそうなくらい顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
「…あー…なんかあたしってば地雷踏んじゃった?」
言い出しっぺの莉緒までパタパタと赤らんだ頬を仰ぐ始末で。
そんな似た者姉妹の私達を見て、猛さんはしてやったりとばかりに豪快に笑い声を上げた。