秘書と野獣
「じゃあ莉緒、お邪魔しました。旦那さんにもよろしく伝えておいてね」
「了解! こっちこそ楽しかった。お土産もありがと!」
家の前まで見送りにきた莉緒が、並んで立つ私達をまじまじと交互に見つめる。
「な、なに…?」
「んーん。いや~、ほんっとラブラブなんだな~と思って」
「…はっ?」
「だーってさ、あの進藤さんがだよ? 愛する女性のために必死に仕事終わらせて、しかも頼まれてもないのにわざわざお迎えにまで来てさ~。ちょーラブラブじゃん!」
「らっ、ラブラブって…」
やっと顔の火照りがおさまったばかりだというのに。
こっぱずかしいから勘弁してくれ!
「どうした莉緒、羨ましくて仕方ないか?」
だと言うのに猛さんまで何を言い出すの!
「ふふーんだ、うちもまだまだラブラブ真っ盛りですよ~だ!」
「ふっ、そりゃあ結構なことで」
「えへへへっ。進藤さん、おねえちゃんのことよろしくね!」
「任せとけ」
けれど、当たり前のように繰り広げられるその会話に、自分がどれだけ彼らに愛されているのかを感じて、泣きたいほどに胸の中があったかくなった。