誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
ゴールデンウィーク3日目。
場所 駅前の時計台
時刻 午前10時
「……はぁ。」
剣城真琴、絶賛筋肉痛です……。
一昨日歩き回っただけで太ももバッキバキ。
昨日1日は、ほぼベッドの上から動けなかった。
散々ビビにからかわれたけど、ビビは猫だし、そもそも殆ど私の肩に乗ってたくせに……。
あぁ。一人称は私に変えた。
もうバレたことだしね。
ただ、口調は変わらず俺のまま。
今回は由樹さんと燐理だから良かった。
だが、black killersに目をつけられているwhite castleにとって、バレることだけは避けたい。
だから、表は変わらず俺モードで。
というか……
「……そろそろ時間なんだけど。」
呼んどいたくせに集まりは悪いとか。
「まーこと!!!」
背中から声が聞こえたと思ったら、背中にズシリと何かが乗っかった。
……筋肉痛で身体が悲鳴をあげているんだけど。
背中に乗ってるのが誰かなんて、見なくても分かった。
「……楽、重いよ。」
「ふふふふっ、いいじゃんよー!!」
私の背中の上でグラグラ揺れてる楽。
「……首が締まる。あと、動くな。」
「ふふっ、ふふふふーん!!」
「……楽、今日は何でそんな気持ち悪いの。」
「きっと、真琴がフード取ってて、しかも名前を呼んでくれたから嬉しいんだよ。」
「あぁ!!何で言っちゃうのさぁー!!」
やっと背中から降りてくれた楽を見ると、桜悠の言った通りみたいだ。
ものすごくニコニコしてる。
「……おい。どこ、行く。」
事の顛末をただ黙って見ていた来都の声掛けで、ようやく一行は動き出した。
「とりあえず繁華街行かないー?」
楽の提案で、繁華街に向かうことになった。
「何か違和感があると思ったら、今日はビビちゃんはいないんだ?」
「……うん。」
ビビは、面倒くさいから行かないわって言って留守番をしている。
きっと人混みにやられたから外にはあまり出たくないんだろう。
そんなことより……。
「……視線が痛いんだけど。」
すれ違う人の殆どが、私たちをチラチラ見ながら通り過ぎていく。
時折聞こえる声からは、"三銃士(サンジュウシ)"という単語が多く聞こえる。