誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「……三銃士ってなに?」



「あぁー……何か僕たちそう呼ばれちゃってるんだよねぇー。」



「勝手に名前付けて困るんだよね。」



「……うぜぇ。」



へぇ、この3人結構有名だったんだ。



じゃあ、その3人に混ざってる私はものすごい違和感な気がする……。



「でも、真琴も結構注目集めてるね?」



「……え?」



桜悠に言われて少し耳を澄ませてみると、私も何か言われているようだ。



別に興味ないけど。



ただ、自分に向けられる視線は嫌いだ。



……頭が、痛い。視線を下に映す。



お願いだから、その瞳に私を映さないで……。



ふと、影が落とされた。



それと同時に頭にフワッと何かを感じた。



「……被っておけ。」



来都がフードを被せてくれた。



「……被ってて、いいのか?」



「……そんな無理しても仕方ないだろう。」



気づいてくれたことが嬉しかった。



なぜだろう。



知らない人の視線はこんなにも嫌で仕方ないのに、来都たちの視線は嫌じゃない。



これも、気まぐれに身を任せた結果なのだろうか。



どれも初めての事ばかりで、対処のしようがない。



結局午前中はブラブラ街を歩き回り、私も外にいる間はフードを被って過ごした。



楽の才能には驚いたなぁ。



ゲーセン入った途端、係員が楽に寄ってたかってきて「今日は難しいの用意しておきました!!」とか言い出すし。



何かと思ったらUFOキャッチャーだった。



桜悠曰く、楽はゲームに関しては天才的で、ゲーセンを回って歩いては殆どの景品をかっさらっていくらしい。



実際目の当たりにしたら、本当に凄かった。



しかも、その景品をすれ違う子供とかに渡していくっていうね。



「だっていらないしー。真琴にもあげるねぇー。」と言ってくれたのは可愛らしいクマのぬいぐるみだった。



一応、男の設定なんだけどな……。



そして昼食に至る。



入ったのはどこにでもあるファーストフード店。



あまり入ったことがない私は、どれを頼んでいいかも分からなかったから適当に選んだ。



「いやぁ、今日もたっくさん取ったぁー!」



「係員さんの顔凄いことになってたけどね。」



「お店に貢献してるんだからいいんだよー。」



「……1回で取れたら意味ないだろ。」



うん、来都の言う通り。



アレは完璧赤字だと思う。



「いいもん!!
真琴もぬいぐるみ喜んでくれたから!!」



「……あ、ありがとう。」



「言わせたね。」


「……無理やりだな。」



「ちーがーうー!!」



可愛らしいけど、これはこれで好き。



大事にしよう。


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