誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
ゴールデンウィーク最終日。
今日は、とある社長からの依頼だった。
だが、正直言ってあまり気乗りはしていなかった。
なぜなら予感がするからだ。
今日はblack killersが来る……そんな予感が。
あと、強いて言うならば、社長が善人ではないことだろうか。
こういう依頼主もよくいる。
自分が今までの悪事で利用してきた奴らからの逆恨みで殺されることが。
個人的にはもの凄く嫌いだ。
自業自得、という言葉がとてもよく似合う。
「死んでもワシを護れよ!!!」
ほら、こんな風に。
自分が偉いと思い込んで、自分以外のはクズだと思ってる。
だが、職業的にはそうもいかない。
依頼してきた人は護らなければと心に決めている。
職業じゃなければ私が殺しているところだ。
こんな奴らがのさばっているから、私に助けを求める人が増えるのに……。
『……案ずるな。』
〈私、こういう人種だけはホント嫌い。〉
(そう言うな。俺も同じだ。)
私情を消し去り、"鉄壁ノ陣"を形成する。
出来る限り、この依頼主とは話をしたくない。
時計を見ると、そろそろ19:00になろうとしていた。
さぁ、今宵も全てを護りきろうじゃないか。
「やぁやァヤァ、待ちくたびれちまったなァ!?
お前もそうだろォ!?white castle!!」
開かれた扉の向こうから姿を現したのは、フードを深く被った殺し屋。
だがこの間の黒鮫とは違う口調。
『……そうだな、黒豹。
だが、俺が求めているのは中ボスなどではないが。』
「ハンッ、言うじゃネェか!!
なら、ンな中ボスにwhite castleが殺られるわキャあねぇよなぁ!?」
そう言うと、黒豹は鎖鎌を取り出した。
遠距離攻撃を主とするタイプか……。
アレなら、依頼主の陣まで届きそうだな……。
横目で依頼主を見ると、既に気絶していた。
……クソが。
『……脚力強化。武器は……ダガー。』
〈りょうかい。〉
指輪を嵌めて念じると両足元が光り輝くと同時に、ダガーを持つ。
パリングダガー。
波打った刃が特徴的な剣。
相手が遠距離武器なら、受け流してからの一撃が重要。
相手の武器を見てダガーの中でもこれを出してくるなんて、ビビは本当によく理解している。
「ケッ、んなチンケな武器で耐えられんのカァ!?
1歩も近づけなかったりしてなァ!!」
『やってみれば分かることだ。』