誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「どうもコンバンワ。
約束通り殺しに来ましたヨっと。」



「クソッ!!」



ボディーガードが4人……。



可哀想に。



たかがソイツの盾になって命を失っちまうなんてよ。



「……忠告だけはしといてやるヨ。
お前ら……死ぬゼ?」



「いけ!!怯むな!!
金払って雇ってるんだから仕事しろっ!!」



突っ込んでくるボディーガード。



だが、その顔には明らかに恐怖が滲んでいる。



死にたくねぇなら来なきゃいいのに。



少し同情する。



引きたくても引けねぇ。



自分の感情より仕事を優先しなきゃいけねぇ。



例えそれが命を失う結果になると分かっていても。



「……今回だけはサービスしてやるヨ。」



〈同情でもしたカァ?〉



「……そうだな。」



今日の俺はどこかおかしいからな。



ほんの気まぐれだ。



行動パターンを把握し、相手が行動する前に先手を打つ。



そうして4人を気絶させ、本来のターゲットを見る。



「さァ……あとはお前だけだなァ?」



「ひぃぃぃぃッ!!」



床を這いつくばりながら、俺から逃げるターゲット。



角に追い詰め、ジリジリ歩み寄る。










「まままま待ってくれっ!!
アイツさえ殺せば大金が入るんだっ!!
そうすりゃ返済も出来るっ!!」



「アイツ……?」



「そうだっ!!
伊佐波グループの次男だ!!
行方不明のソイツを見つけて殺せば……っ!!」



「……そいつは無理な話だナァ?」



髪を掴みターゲットの顔を無理やり引き上げる。



そして、ソイツの耳元で呟く。










「なぜなら……それは俺だから。」



「な……ッ!?」



「ジャ、さようなら。」



壁に飛び散る血。



ターゲットは驚いた表情をしたまま、首から血飛沫をあげて息絶えた。



〈お前、指名手配でもされてンのカ?〉



「そうみたいだナ。」



デスクに置いてある書類に目を留める。



そこには顔写真も貼付されていた。










【伊佐波グループ次男、伊佐波桜悠を殺せ。
殺したヤツには報酬1000万。】



「……クソが。」



表側じゃ俺を探すフリしといて、裏側じゃ殺しの依頼か。



つくづくやることがダセェ。



「いくゾ、帝。」



〈いいのかヨ、アレは。〉



「きたら全員殺すだけだ。」



〈ケッ、いいねェ。ゾクゾクするゼ。〉



来るなら来ればいい。



もう俺は、あの時の弱い俺じゃない。



end















< 67 / 182 >

この作品をシェア

pagetop