誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
〈真琴!!この廊下の一番奥にある部屋よ!!〉
桜悠……桜悠……ッ!!
その部屋の扉には、南京錠がついていた。
ここだけ……この部屋だけ、この邸宅に場違いな作りをしていた。
『……鍵を壊す。』
〈分かったわ。〉
私の足に特性を上乗せして、扉を突き破る。
壊した扉の奥には……桜悠がいた。
手足を鎖に繋がれ、無惨な姿の桜悠が。
『……何で……こんな……ッ』
私の呟かれた声に、桜悠がそっと顔をあげ、そして……その顔を驚きと苦痛に歪ませた。
「な……んで、……んなところ……に……ッ!?」
桜悠の身体は……ボロボロだった。
治らないように、消えないようにつけられた痣。
刃物で切りつけられたような切り傷。
そして……治りきらずに傷から滴る……血。
『……ッ』
私は……そっと桜悠を抱きしめた。
「……どう、して……?」
『……ごめんなさい……ッ。
もっと……もっと早く来ていれば……ッ!!』
1週間が桜悠にとってどれだけ果てしない時間だったか。
もっと早く楓さんに電話していれば。
こうなることも予想していれば。
桜悠が行方不明になった理由をもっと深く考えていれば。
桜悠がされてきたことを予想できるヒントは沢山あったのに……ッ。
何が護り屋だ。
他人は護れても、大切な人1人護れない。
こんなの……こんなのって……ッ!!
「……white castle……、ありがとう……。」