誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
どうすれば……どうすれば護れる?
俺じゃ……無理なのか?
殺し屋の俺には……そうする資格もないのか。
今日もただ殴られて終わりだと思っていた。
扉が壊されるまでは。
頭をあげる力なんてなかった。
『……何で……こんな……ッ』
でも、その呟かれた小さな声に導かれ、ゆるゆると頭をあげる。
なんで……なんで君が……。
「な……んで、……んなところ……に……ッ!?」
どうしてこんなところにいるんだよ……white castle。
見られたくなかった。
こんな無様な姿を。
君にだけは。
君は俺が黒豹だってことを知らない。
知ったら……きっと自分を苦しめるはずなのに。
桜悠のことも、white castleは無関係のはずなのに。
それなのに、なぜ。
君はそんな泣きそうな表情をしてるの……?
『……ッ』
唇を噛み締めたまま、white castleは俺を抱きしめた。
怪我に触れないようにそっと……。
「……どう、して……?」
『……ごめんなさい……ッ。
もっと……もっと早く来ていれば……ッ!!』
君がどんな表情をして言ってるのかなんて、見なくても分かった。
だからこそ、この小さな身体を抱き締め返して"全然大丈夫だよ"って言ってあげたいのに。
今の俺には……そう出来ない。
手足に繋がれている鎖が。
俺の心に繋がれている鎖が。
そうさせてくれなかった。
だから、言葉にする。
「……white castle……、ありがとう……。」
『……何で……ありがとうなんて言うんだ……ッ。』
「……フフッ、来てくれたことだけでも嬉しかったから。」
本当は来てほしくなかったけれど。
でも本当は……会いたかった。
矛盾する気持ちが、俺をぐちゃぐちゃにする。
『……でも、何でこんなに……。』
「俺は、ガキだから。
従わないやつには躾をする。
それが……この家の芯だよ。」