誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
俺は捨てられた。
金と引き換えに。
そして、引き取られた先でアイツらに出会った。
blackkillersの黒豹として、人を殺した。
それが父さんの望む姿になれなかった俺の、新たな姿だった。
『……そんなの、ただの我が儘だ……。』
「我が儘?」
『……人は道具じゃない。
自分の思い通りになる人間なんて、自分以外にいない。それを例え、どれだけ強制しようとも。』
本当に君は厄介だね……。
こんなにも簡単に答えを出してくるなんて……ね。
「でも俺は、それに抗わんとした。
俺は……道具に成り下がった人間だよ」
『……違う。
それは偽りの"伊佐波 桜悠"。
本物の"伊佐波 桜悠"は何を思ってる?
今あなたがここを出て、一番に会いたいと思う人は……誰?』
今俺が一番会いたい人……。
そんなの、決まってるじゃないか。
「……あいつらに……会いたい……ッ。」
来都と楽と真琴。
あの3人と、あの屋上で。
あの時間が、俺は好きだ。
『……それでいい。それが、本物。
なら、その"桜悠"は……俺が護ろう。』
そう言ってwhite castleは後ろを振り返った。
そこには……黒に身を包む同業者が立っていた。
それはまるで、俺に対する超えられない壁のように。
end