誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
『……他のやつと同じ苦しみ方が出来ると思うな。』
どうか……どうか、暴走しないように。
私が私を制御できなくなった時、私はきっと……。
だが、自信をもって言える。
今の私は……何するか分からない。
「こい!!返り討ちにしてくれる!!」
殺し合いが始まった。
殺し合いの最果てにある、目標を遂げるために。
右下から切りかかったところで、それを刃で受け止められる。
離れ際にすかさず隠しナイフを放つ。
「……チィッ!!!!」
殺し屋は腕を抑えたが、すぐ体制を整えて構えていた。
『……掠っただけか。
だが……それは掠った"だけ"じゃ済まない。』
「グ……ァッ!!お前……毒を……ッ!!」
隠しナイフの刃には毒を仕込んであった。
主である片手剣で攻撃するからこそ、引っかかる策略。
そして、そのまま動き続けると……身体に毒が回る。
『……言っただろう?
"他のやつと同じ苦しみ方が出来ると思うな"と。』
じわじわとなぶり殺してやる。
〈……真琴……。〉
護り屋の瞳は……獰猛な赤だった。
それはもう……瞳があったら硬直してしまうような絶対的な、赤。
「クソがあぁぁぁぁああ!!!!」
そんな毒の回った身体で何が出来る。
足元が覚束無いないやつの攻撃なんて、当たらないに等しいというのに。
『……そのまま堕ちろ。』
両肩と両太もも目掛けナイフを放つ。
「グアァァァァァア!!!!」
殺し屋はその場に崩れ落ちた。
血の量を見る限り、動くことは不可能。
これで終わった……はずだった。
『……ハァ……ハァ……ッ、』
(力が……抑えきれない……ッ。)
どれだけ鎮めようとしても、力は私の言う事なんか聞かずに暴走していた。
〈真琴!!もうこれ以上はだめよ!!〉
『……ハァッ……分かって……るッ!!』
胸元を抑えて蹲る。
でも……それは何の意味も持たなくて。
「……_______ッ!!」
桜悠の声がどこか遠い。
足が自然に殺し屋の方へ……手が勝手に剣を握っていた。
「……ハッ、護り屋が……人を、殺せるのか……?」
俺が人を……殺す?
お前ら殺し屋と同じことを?
そんなこと…………あってはならない。