誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
私は桜悠に手を差し伸ばす。
かつてみんなが桜悠にしたように。
そして、私にしてくれたように。
「……俺は……誰かを傷つけるんじゃなくて、救えるような人に……なれるかな?」
『……大丈夫。俺が保証する。』
桜悠の表情は清々しかった。
人は誰しもお互いを傷つけあう。
私も……。
「流石white castleと言うべきか。
桜悠を手駒にとるとは……大したものだ。」
声がした方を振り返ると、男が立っていた。
「父さん……。」
こいつが……桜悠の父親。
その横に立っている男はさっき電話していた秘書か。
『……手駒だと?』
「そうだ。それはただの道具でしかない。」
『……ふざけるな。桜悠は俺の大事な人だ。
それを道具と言う事は、俺に喧嘩を売っていると解釈するぞ。』
「殺し屋を倒した護り屋とは少し厳しいな。
だが……これならどうだ?」
秘書の後ろから出てきたのは……拘束されている燐理だった。
身体中傷だらけで、やはりさっきの追手にやられたみたいだった。
『……燐理……ッ!!』
「悪りぃな……。ちょい油断したわ……ッ。」
これで状況は急変する。
傷だらけの桜悠と、拘束されている燐理。
この2人を連れて脱出するのは難しい。
「さぁ、どうする?
お前の後ろにいるやつを置いていけば、コイツは返してやろう。」
『……卑怯者がッ。』
「なんとでもいえ。元々そこにいるやつは私のだ。
お前こそ泥棒ではないのか?」
私が泥棒?
『……3年桜悠を放っておいて、必要になった時だけ道具のように扱うのか。
相変わらず金持ちはクズだな。
逆に言おう。お前に桜悠はもったいない。
桜悠には相応しい場所がある。
まぁ、お前みたいなクズにはココがお似合いだがな。』
「チッ、口だけは達者なやつだ。
状況を理解出来てないみたいだな。
コイツがどうなっても知らんぞ?」
そう、状況は何も変わっていない。
どうすればいい?
どうすれば2人を助けられる?
力を使う手もあるが、さっきの戦闘で殆ど使い果たしてしまった。
一体、どうすれば……ッ!!