姫様と魔法のキス
暫くアロガンと会話していたが、パーティーに参加していた名のある王家や貴族の来賓たちにアロガンが呼ばれたことにより、彼は談笑に加わっていく。
その後ろ姿を見届けたニカはほっと息を吐いた。
「お疲れ。」
アロガンと入れ替わるようにやってきたレゼは、ニカの隣の空白の席を見ながら尋ねる。
「王様はどこに行ったの?」
「お父様?さっきまであそこにいたのだけれど…」
父王がさっきまでいたはずの場所には別の貴族がおり、その姿は見えない。
キョロキョロと辺りを見回すものの、父王は見つからなかった。
「もしかしたら政務室に戻っているのかも…。ここのところお仕事がとっても忙しそうだったから」
「…大変だね」
「そうなの。だから私も早くお手伝い出来るようになれればいいんだけど…」
手伝いの中でも、1番の支えになるのは後継を作ること。
それは婿養子を貰い子供を授かることであり、今回の婚約がまさにそれに繋がる。
結婚に対して憂鬱になりながらも、それが父王の支えになるなら覚悟もしなければならないのだとニカは気付いた。
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