姫様と魔法のキス
パーティーが始まってすぐは、ニカもアロガンも席につき、他の皆が談笑しているのを眺めるだけだ。
その後、暫く経ってからはニカたちも談笑に加わる。
そして、一通り挨拶が終わったところで最後には婚約を人前で誓うのだった。
ニカの斜め後ろにただ立っているレゼに、下に行ってご飯をつまんでも良いのだと目線を送り、ジェスチャーで伝える。
しかしレゼは一向に動こうとしなかった。
「ニカは、あの従者がお気に入りなのかな?」
「えっ」
レゼを見ながら、アロガンはニカに囁く。
「彼は従者ではなく、私の友達なの」
「へぇ…」
ニカの言葉を聞いたアロガンは、まるで品定めをするようにレゼを見た。
見られていることに気付いたレゼも、眉間に皺を寄せアロガンを見定める。
「珍しい髪色だね。黒なんて初めて見たよ」
顎に手を添えて言いながらレゼから視線を外したアロガン。
対してレゼはアロガンから視線を外すことはなかった。
.