東の空の金星
それからのふたり。
大和さんと私はその年の6月に軽井沢で親族だけの式を挙げ、

10日間。ハネムーンにベタにハワイに出かけた。

その10日の間、『凪』はお休みにして、大がかりなお掃除に入り、
2階も改装し、私と大和さんが住む部屋に作り変えてもらえた。

そのまま私が2階に住んでも良かったけど、
1度も私が2階に上がらなかったのを大和さんは気にしていて
壁紙を張り替え、カーテンや家具や電化製品も全て買い直してくれた。

やっぱり、桜子さんとの思い出の家は
すこし切ないと感じていたのが伝わったのかな。

「良いのよ。今までお金を使うところがなかったんだから、
少しぐらい贅沢しても。」と遥香さんが言ってくれていたし、

もう、どれも古くなって買い替えの時期だと大和さんも笑って
付き合うようになってすぐから、楽しそうに家具を選んでくれたりして、準備を進めていたのだ。


そして、幸せな事にハネムーンベイビーがやって来てくれて

大和さんは本当に嬉しそうに生まれてくる子供を待っている。


私はカフェの店員をランチまでにして、朝のパン作りだけをするようにした。

パンを作り終えて、大和さんを送り出して、ランチの時間が終わるとお昼寝し、

大和さんが帰って来て食事のじゅんびをしたり(芳江さんが用意したものだけど…)、
大和さんが眠る時に一緒に眠るよう

生活のスタイルを変えていき、

『凪』は新しいバイトの女の子を雇って、

パンの販売もするようになっていった。
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