恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「俺の父親って
仕事ばかりだしていて、家を顧みない人だった。
大学の医学部の医学部長をしてたんだけど、
仕事と、人脈作りの為の付き合いとでいつも家に居なかった。
母親はその大学の大学病院の院長の娘で
ま、政略結婚の色合いが濃い結婚だった。
そんな中でも、お互いに誠意を持って、
家庭を守っていて、母も不満を口にしなかった。
きっと、自分の両親もそんな夫婦だったのだと思う。
で、家族の思い出って、いうのが、
季節が変わるごとに決められた日に出かける
買い物の後に食事に行くっていう行事だった。
今日は紳士服の店だけだったけど、
大抵、婦人服の売り場にも行った。
これが、また、長くかかって、弟と俺は退屈だった。
森さんは母とも仲が良くて、婦人服の店にも付いてきてもらってた。
靴もバッグも、時にはアクセサリーも合わせて、一緒に選んでいた。
森さんの『よしっ』の声で買い物が終了して、食事に行けたんだ。
その日は一日中父も俺たちの側にずっといて母が洋服を選ぶ間、
たわいもない話をしてくれた。
…今日の買い物は俺にとって、凄く懐かしくて、幸せな思い出の、トレースだよ。
森さんの掛け声が久しぶりに聞けて嬉しかったし、
今日使った金額はちっとも高いお金じゃないよ。」と言って、私を見る

「だからナナコ、気にせず、貰っておいて欲しい。
スカート履いたナナコと、デートもできたし。
今日は凄く楽しいよ」と続けた。
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