恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
23時。
美波が勤務時間より随分と早くやってくる。

「緊張する。こんなに小さい子の看護は研修以来だし」とクベースを覗く。

「西島先生が何度も来るよ。大丈夫。」と安心させておく。

機械の使い方や、処置の仕方を確認する。
ここの病院では、緊急時には自分ひとりで対応しなければならないことがある。
という危機感があるので、からだに叩き込むように2年間の研修を受けた。
美波もきっと同じだ。
忘れていないものだと自分でもおもう。


「ベビーちゃん、深く眠ると息するのを忘れて、
経皮モニターの値が下がってくるから、そっと起こしてあげてね。」と気がかりなことを申し送る。

美波はメモを取りながらふと、笑って
「あくびなんかして、可愛いところは見せなくてもいいから、
ちゃんと、呼吸してください」と、ベビーに文句を言ってから

「ナナコ、お迎えが来てる」

とナースステーションの透明な窓から覗き込むリュウの姿を見て言った。

リュウは何か言っているが、この部屋の中にはは聞こえない。

「あの、オトコはナナコのストーカー?」

と、リュウに声が聞こえないのをいいことに、酷い事を言う。

「ベビーちゃんに会いに来てるんだと思う」というと、

「そうかなあ、あ、アイスもってるし」

手には2個のチョコチップのアイスが握られている。

「あたしの分はぁ?」と美波が不機嫌な顔を見せると、
もう一方の手に買い物袋を持っていて、中を見せる。

美波は
「よしよし、夜勤者全員の分あるね。」と言ったけど、

「なんで、チョコチップだけなの?
あのオトコは、ナナコの好きなモノしか考えてないいんだね。」と大笑いをした。
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