恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
その夜は疲れ切ってぐっすりねむり、
朝、出勤して、ナースステーションからベビーの部屋を覗く。

美波が、笑って手を振っているので、
状態が安定していたのだろう。

他の職員も仕切りに張り付いて、クベースの中を覗き込む。

あっという間に病棟のアイドルだ。

今日の午前中には転院が決まっているけれど…

師長がやってきて、朝のカンファレンスがはじまった。
ベビーの転院前に、もう一度家族に病状の説明をする事になっている。
小児科小松医長と、担当医の西島先生、
ベビーの担当ナースの私と、莉緒ちゃんの担当の主任ナースがが、出席する事になった。

午前9時。
病棟の会議室に車椅子に乗せられた莉緒ちゃんと、両親がやってくる。
どちらも、不安そうな顔だ。

西島先生の説明が始まった。
そこへリュウが、音を立てずに入ってくる。
まあ、関係者の扱いで誰も気にしてはいなそうだ。

西島先生の、小さく生まれた事のリスクや、
今は、分からなくても、表れるかもしれない障害について、説明がある。
説明を聞いても、家族の誰もが上の空のようだ。

質問もない。

莉緒ちゃんは、反応がなく、
両親はまだ、娘の出産が信じられないのだ。

説明はあっけなく終わってしまい、沈黙が重たい。
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