恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
帰り道、遠回りして川沿いのジョギングコースを歩く。
修一との思い出は、
きっと忘れられないだろう。


お気に入りのベンチには人影がある。

「来ると思ったよ」とリュウだ。

なんでここにいるのかっていう事は置いといてリュウの隣に座り、
肩に顔を埋めて声を出してしばらく泣いた。

私は鼻をグズグズ言わせながら

「なんで、ここにいるの?」とやっと聞けた。

「うーん。きっとここで、泣くんだろうなって思って、仕事早退した。
柳部長に、腹が痛いって、嘘ついたら、
朝から使い物になってないから帰れって言われた。」

と言って、私の顔を両手で包んで涙を舐めとり、
「ナナコの涙は、俺が止めるって約束したし」と笑った。

「うん」と、私は泣き笑いの顔になる。

リュウは
「次は、ちゃんと俺のところに来て」と、私の瞳を覗く。

私は頷いてリュウの胸に顔を埋め、リュウの匂いを吸い込む。
安心する匂いだ。

リュウがぎゅっと抱きしめてくる。

これからはここが私の居場所だ。


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