三月の雪は、きみの嘘
とはいえ、何度作っても簡単に崩されることにも慣れてきていた。


そうして、いつしかウソつきになった私。


仲良くなった友達にすら、相手が少しでも私に気を遣ってしまいそうだと思えば、ウソばかりついてしまっていたっけ。

心から信頼できてなんでも話せる友達がほしかったけれど、こんなウソつきに親友なんてできないのは明らかだった。


……それにしても、拓海くんに見覚えがあるのはどうしてなんだろう。


教室に入ろうと振り向くと、ちょうど拓海くんが私の横を通り過ぎようとしていた。

さっき助けてもらったんだから、お礼を言わなくちゃ。


「あ、あの……」


拓海くんの背中に声をかけるけれど、聞こえていないのかどんどん遠くなってゆく。

「待って」

早足で追いつくと、一瞬足を止めた拓海くんが私を見た。

その目はあいかわらず鋭くて思わず言葉につまったけれど、なんとか言葉をしぼり出す。

「さっきは助かりました。ありがとう」

深く頭を下げて言うけれど、拓海くんから言葉は返ってこない。


どれくらいそうしていたのだろう、やがて小さくため息をつく音が聞こえたかと思うと、後頭部のあたりに声がふってくる。
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