三月の雪は、きみの嘘
「あの……昨日の男子の発言、気にしてるかと思って……」

しばらくして、目線をさまよわせながら学級委員が口を開いた。

返事に困っていると、教室の後ろからはしゃいだ男子たちが出てくるのが見えた。

昨日の昼、私をからかった男子の顔もそこにある。

もしかしたら、学級委員は自分のせいでからかわれてしまったと責任を感じているのかもしれない。


なんだか申し訳ない気がした。


「大丈夫だよ。気にしてないよ」

彼女を安心させたくて、にっこり笑みを作って答える。

「そう……よかった。もう、学校には慣れてきた?」

ホッとしたように笑った学級委員の顔に、まだ不安が浮かんでいるのが見えた。

慣れているようにはとても見えないからだろう。

ウソはつかずに、だれも話す人がいない状況をちゃんと伝えなきゃ。


そう思って口を開くが、本心を話せばまた余計な心配をさせてしまうかもしれないと考え、次に出てきた言葉は「クラスではまだ話せる人は少ないんだけど、隣のクラスに友達ができたの」だった。
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