三月の雪は、きみの嘘
「なによ」

ふつふつと怒りがわいてきて、気づけばそう口にしていた。

「なにが?」

足を止めた拓海くんが私を見たので、グッと言葉が喉から押し戻される。

「なんでも、ない」

しどろもどろでごまかそうとするけれど、「なんでもあるだろ」と拓海くんはじっと私を見てくる。

まるで心の中まで見透かされているようで、何度も首を横に振った。

「ごめん。ひとりごと……」

最後のほうは逃げるように、階段を下りながら言っていた。

まだ拓海くんに見られているような気がして苦しくなる。

昨日突然言われた『ウソばっかつくのって疲れない?』の言葉が、ずっと追いかけてくるようだった。

それなのに、しばらくして売店でお茶を買ってひと息つくころには、再び怒りが再燃してきた。

「なによ、わかったふうに……」

つぶやきながら一気にお茶を飲むと、そのまま渡り廊下へ向かった。

私だって好きでウソをついているわけじゃないのに、あんなふうにとがめるような顔をしなくてもいいじゃない。
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