三月の雪は、きみの嘘
「私のことをウソつき呼ばわりしたでしょ」

「え、僕が?」

自分を指さして目を丸くしている拓海くんは、あいかわらずおどけている。

どこまで本気かわからないし、なんだかバカにされている気分になる。

「そうだよ。『ウソばっかついてて疲れない?』って言ったじゃん。あれってどういう意味なの?」

反応を待っていると、しばらくの間「うーん」とうなり声を出してから拓海くんはまた顔を近づけてきた。

「覚えてないけど、たぶんそのままの意味だと思うよ?」

「……覚えてない?」

とがめるような言い方になってしまった私を気にする様子もなく、拓海くんは「うん」と素直にうなずいている。


あんなひどいこと言って覚えてないって……おかしいんじゃない?


「熊切さんはウソをついてしまうんだよね?」

鋭いことを、まるで世間話でもするような軽い口調で聞かれ、思わず顔をしかめる。


すると……。


「教えてあげてもいいよ」


拓海くんは人差し指を目の前でかざした。
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