三月の雪は、きみの嘘
「……なにを?」

展開についていけずに聞き返すと、軽くうなずいてから拓海くんは言った。

「どうしてウソばかりついてしまうのかを」

「……なによそれ」

意識して声にするけれど、自信なさげな小声になってしまう。


さっきから心臓のあたりがすごく痛い。


どうして彼は私がウソをついていることを知っているの? 


彼がなぜわかっているのかがわからないという複雑さが、頭を余計に混乱させる。

「だって、悩んでるんでしょ?」

「そんなことない」

興味なさそうに口にしても、本当はすごく気になっている。

「僕の出すヒントを読み解けば、全部解決してラクになると思うよ」

そう言うと拓海くんは立ち上がって、カウンターの上に一冊の本を置いた。


あ、そうか、世間話をしているわけじゃないんだよね。


彼はただ本を借りに来ただけなんだし、私も図書委員としての仕事をきちんとしなくちゃ。


今言われた言葉の意味を考えたいけれど、それは後にしよう。
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