どきどきするのはしかたない
・一件は…落着
「…冷却期間の事だよ、涼葉。…フ」
顔を両手で包まれた。
「……え?あ、…もう、…嫌…はぁ」
慌てて離れようとしたら抱き直された。
「ん?ドキドキが半端無いな…勘違いさせたか。ごめんごめん、わざと意地悪く言った訳じゃない。変な言い方になっただけだ。ごめん。終わりなんかじゃないに決まってるだろ?そういうんじゃない」
頭を胸に押し付けるようにされ撫でられた。
「はぁ、本当に…心臓がどうにかなりそうなくらいドキドキしました。でも、頭を冷やす期間だって言ったのに、まだ少しも変わってませんよ?私」
「ん?…冷却期間なんて、言ってみただけの事だよ。俺だって…本のちょっとでも、考えてみる事、止めてみようと思って。実際やめられるのかと思ったら、出来るものでも無かった。
はぁ…思いは募るばかりだった。
何をちょっと揉めたとか、言い合ったとか、したとしても、思いを確認し合ったばっかりだ。
…思いは溢れて仕方ない。
ちょっとは涼葉のここに、心に響いてくれたか?」
ぁ、課長…鎖骨の下辺りをとんとんと突いて、凄い事言ってる。
「何を気にして自滅しようとしてるのか知らないが、…開き直られるのも、いいとは言わないが、涼葉は涼葉だと思っているから。一緒に居る意味…、出来ない事は補い合えばいいじゃないか。二人で居るんだから」
…課長、これって。
「一緒に暮らしてみないか?どうだろう。
プライベートが無くなると思うなら止めておく。リラックス出来る感覚は、人それぞれ違うだろうし。仕事が終わってまで同じエリアに居たくないとか、会いたい時会えるくらいがいいとか、色々あるだろ?
それによっては暮らす生活パターンだって二人にいいように作れるはずだ」
「私、…我が儘なので」
「うん…解ってる、大丈夫だ」
私の希望、言い易くしてくれてますか?
「…今は、まだ…このままがいいです」
「会える時に会う、それがいいのか?時間は無理して作れないもんだ。無理はつぶれる元だ」
「…はい。…寂しい時もあります。でも、そのくらいが、…恋しくていいのかも知れないです。
今はそれでいいです。…言い切れないけど。イレギュラー…してしまう時もあると思います。
…明日になったら変わっているかも知れません。それだけ、今の感覚は、そんな感じなんです」
「うん…それはどんな風に」
「次の日には、ずっと一緒に居たくて堪らなくなるとか…なるかもです」
「じゃあ、俺は…そうなるようにするかな…」
「え、…ぁ」
「明日の涼葉の休み…俺のモノでもある…」
あ、…課長。
息が止まりそうなくらい愛された。