どきどきするのはしかたない

はぁ、ご飯も食べず、まず、…こういう物に手を出して飲んでる事がね…。ご飯、作ろうよ、私。疲れた〜と言いながらでも、お母さん達はちゃんと作るじゃない。

シュポッとタブを開け、カクテルを飲んでいた。

自分のだと思って作るのが煩わしいなら、誰かの為に作るつもりで作ればいいじゃない。
今日に限らず。思い込ませて作るのよ…。自炊がちゃんと出来てる人は、男女問わず居るじゃない。
自分の性格を考えたら、どういう風な考え方をしたら出来るようになるかな…。便利な物があるって事に慣れて、頼り過ぎなんだよね…。
やるぞって買っても、作らなければ結局は野菜を駄目にしてしまうし。美味しい物、買えばあるって知ってるから…。自分で自分は騙せないよ…。
…ん、長い間ベランダに居るのはよくない。

部屋に入って鍵をかけた。よし、閉めたわよ。

「…ゔ」

いつの間に…。びっくりし過ぎてそれ以上声が出なかった。

「ドアの鍵、開いてたぞ」

「…ふぅ、…驚かさないでください…。開いてたからって入るのも、…どうかしてます…」

…まず、チャイム鳴らしますよね、普通。開いていたら、入る時に声くらい掛けますよね?

「どうした。いつもならもっと、悲鳴上げて、やいやい、わーわー言ってくるだろ」

いつもも何も、貴方という人は…昨日の今日じゃないですか、…また…連日来てるんですよ?

「別に…何でも無いです」

「…はぁ、見たまんま解りやすいな。それに、愛徳みたいな性格の人間は、何かあった時、何でも無いって言うよな」

あ。飲みかけのカクテルの缶を、手から取られて飲まれた。こんな甘いのは、確か飲まないんじゃ無かったでしょうか?

「温いんだよ…こいつの温度の事じゃない。アルコールが飲みたいなら、もっとドライな物を飲めよ。
こんな甘えた物飲んで何になる。だったら果物でも野菜でも、100パーのジュース飲む方がマシだ」

「いきなり何言って…」

貴方が買い足してくれた物ですけど…。まあ、解ってます…こんな時に飲むのでは無くってって事ですよね。

「自分に温いんだよ、…甘いんだ。追い込みが足りない」

あ、また…何を知って…。

「俺、まだ飯食ってない。愛徳が作ってくれ」

「ぇえ?何をいきなり…」

「今までのお返しにと思えばいいだろ。作れない訳じゃないだろ?作らない、作ろうとしないだけだろ?
ほら、材料になりそうな物、何かあるだろ。何でもいいからある物で何とかしろ」

「あ、ちょっと、…もう、何なんですか…」

キッチンに向かって後ろから押されて歩いた。

「腹減ってんだ。早くな。出来たら呼んでくれ」

「あ、ちょっと?」

帰った…。…もう。また、鍵、かけてなかったかな。
…合い鍵とか、持ってる訳じゃないですよね…。
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