どきどきするのはしかたない
何、勝手に決めて。出来たら呼んでくれって言われても。
私…、何を素直に作ろうとしようとしてるんだろう。でも…こういう事なんだよね、日常で作るって。
どうせ、私も何か食べないといけない。はぁ。何てタイミング…思う壷のような気がする。
冷蔵庫を覗いた。あるのは卵。…蟹風味のかまぼこ。今日は特にめぼしい物が無い…。あ。
作れる物はあれしかないか…。長ネギを取り出した。
…はぁ、出来た。かに玉よ、かに玉。
お皿に入れてラップをして隣のチャイムを鳴らした。
「出来ました、どうぞ」
「ん?持って来たのか?」
「はい?」
「何だ、警戒したのか…」
「はい」
何のやり取りなんだか…。
「…フ。じゃあ、…これ」
「はい?…何…」
「野菜ジュースだろ」
かに玉の皿を受け取ると、私の腕に袋の持ち手を通した。結構な数、入っている。…重い。
「それは見れば解ります。けど、なんで…」
「待ってる間に買って来た」
…そうでしょうけど、何故わざわざ買いに行ってまで…。
「あの、紅く見えているのは本当の蟹じゃないですから。かまぼこですからね、それ…」
「あ、あぁ、別に気にしない」
「そうですか、では…これ、有難うございます」
「ん、俺も頂くよ。有難う」
あ…何だか…普通過ぎて…拍子抜けしてしまう。
「どうした、こんなのは物足りない?」
「え?…はい?」
これだけだから?え?何…。
「…じゃあ」
「あ。ちょっと、ちょっと、ストーップ」
かに玉だけかって事じゃ無かった。
傾げた顔が近付いて来たから、ハッとして身体を押し返した。
「フ、残念。欲しいのかと思ったんだけどな。じゃあな。あ、鍵、忘れるなよ」
…もう。
「あ、は、はい」
…はぁ…もう。いいんだけど、…これでいいはずなんだけど、…何だか違う気がした。
「…あの」
「ん?」