どきどきするのはしかたない

…どうする。…俺。

「はい、どうぞ」

「あ、ん、サンキュ…」

…。

「七草さん、変です」

「あ?」

「ここのところの七草さんは何かちょっと違います」

隣に腰掛けた。
俺は少し横に避けた。

「それは、愛徳の見方が変わったって事じゃないか?」

「え?」

「俺は別に、遠慮なく接してるし、攻めてる感じは変わらないと思うけど?」

「…薬じゃなくなったからです」

「ん?ああ、それは、まあな」

…。

「何でも無かったみたいだし、居てもしようが無い、帰るよ」

飲みかけた水にキャップをして立ち上がった。

慌てて出たけど、今更、…この格好で通路に出たところで、誰かに遭遇する事も無いだろうが、愛徳の言う通り、これでは立派な変質者だな。
夏場に有りがちな?まあ、有ってはいけないんだけどな。

「鍵、かけて、もう寝ろ。絶対かけろよ?直ぐにだぞ」

「解りました」

玄関に向かう。忘れないように鍵をする為だろう、愛徳がついて来た。

「あ、そうだ。俺、裸足だったな。悪い、床、汚してしまったな」

カチャ。

愛徳が前に出て玄関に鍵をかけた。

「あ、おい。何やってる。焦り過ぎだ。早過ぎるだろ。俺、まだ出てないし。あぁ、ベランダから帰れって事か?」

愛徳が振り向き、玄関を塞ぐようにして立っていた。

「愛徳?」

いきなり俺の懐に飛び込んで来た。
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