どきどきするのはしかたない
「はぁ…、休むって言っておくけど、いいのか?」
「はい、お願いします」
「こんな早い時間に、もう帰るのか?」
「はい。雨が上がったら帰ろうと思ってましたから」
「…そうか。気をつけて帰れよ?」
「はい」
「こんな時だから、着いたら連絡だけ入れてくれ。俺からは特に返さないから」
「はい、解りました。…あの、…お世話になりました」
「…ああ」
結局、どうなったのだろう…。また私と課長では、思っている事が違うのかも知れない。でも課長は…。
夏と言えども、雨上がりの早朝は、湿度はあっても、気温が低いだけで清々しかった。
太陽が昇り始めたら、途端に蒸し蒸しするのだろうけど。
この時期、明るくなるのは凄く早い。
マンションに着いたところで、約束だから部屋に帰り着いたと課長にメールをした。
ブー、…、あ、返さないって言ってたのに…。
解った、良かったと、課長からメールが来た。
ピンポン。
「愛徳…お帰り…」
「…遅くなりました」
「うん、入れ」
「…はい」
遅いと言えば遅い、早いと言えば…朝だから早い。
ここに…帰って来る約束だから。
「はぁ、大丈夫だったか…は、微妙か?」
「大丈夫でした」
「本当か?」
「はい…まだ許容範囲…という事で…、許してください」
抱きしめられていた。
「…俺、今日、休み取ってあるんだ」
「え…?本当ですか?私もです」
「…前以てか?何か…退っ引きならない事になると初めから思ってたのか?」
「あー、決めたのは課長の部屋に行ってからです」
…休む連絡は課長に頼んであるなんて言ったら、どうなってんだって言われそう。
「…怪しいな」
「怪しくはありません。私、雷が怖くて、眠れてないんです。だから眠いです」
「…そうか。凄い雨だったからな。…はぁ、まあいい。休みなら一眠りするか」
「はい」
報告は済んだ。
「よっこらしょ…」
「あっ、う、わ、びっくりした…いきなり」
「運んで欲しそうな顔してたからな」
「そんな顔?どんな顔?」
「ああ、そういう顔してる。…俺に都合のいい顔って事」
ん゙ー、難解…。…はぁ、七草さんも、まだ何も解らない。
いつも敵わない、でも…構わない。