どきどきするのはしかたない
「ふ〜ん。知らない間に良くなってるのは七草さんのお陰なんですね。考えてみたことなかったな…。障害なく出来てるのは七草さんのお陰かぁ」
「どうだかな」
…珍しく仕事の話をしちゃった。
それというのも、程々に寝て、ベッドの中に居ても眠れなくなったからだ。
七草さんは濃い珈琲を飲んだって事だし。
…。
「そろそろ自分の部屋に帰ります」
何もしないからとか、そんな事が理由では無い。この雰囲気だとその方がいいと思ったからだ。むしろ、遅いくらいだった。
ギュッと抱きしめた。
「あ゙っ。そうだ、これだこれ」
「え?」
「愛徳、ここまでしかしなかったのは、わざとだったんだろ?」
「え?」
「来てからの事だよ。抱きしめたかっただけとか言って。キスした後、ここで止めたら、後は俺からちょっかい出してくるだろうって。…やられたな。まんまと愛徳に操られたな、…寝落ちしてしまったけど」
「…操られたなんて。何言ってるんですか?
私は抱きしめたかっただけです。そこまでで良かったんです。言いましたよね?
七草さんこそ…、そんな言い方して、自分が襲うって事にしたくなかったんじゃないですか?
寝てなかったら…する気満々だったって事でしょ?」
「別に乱暴になんてしないから」
「そうですけど、もう…」
言ってる内容は濃い大人の話でも、会話はまるで子供だ。
「小学生の口喧嘩みたい」
「フ、あぁ、本当だ。…帰ってゆっくり休めよ。中々答えが出なくても、考えたい事もあるしな」
また迷宮に入り込みそうだけど。
本質か……。七草さんにはよく解られている気がするな。
「帰ったら…暫くは会いません」
今度こそ、どうするか、本質を見抜かないと。
「うん…そうか」
「はい、七草さんに」
「…あ?…俺か?!…かぁ、だったら襲っときゃ良かったな…」
もう…、真面目に不真面目なんだから。