どきどきするのはしかたない

…ストーカー、か…。
このままでは課長はストーカーみたいになってしまうのかな。どう思うかは私の気持ち次第だけど…。

課長の番号を拒否設定してしまったから、…強引に行動に出たという事かな。そうまでして話したい事って…。
まだ話はあるって言ってたけど。
駄目…。もう考えるのは止めよう。もう終わったのよ。
終わったモノは終わったモノ。
そう思わないと囚われて惑わされ続けてしまうばっかりでしょ?

…そうは言っても…好きな気持ちは簡単に片付くものでは無い。そんな事は解ってる。
…結婚は無いって…どういう意味?…。
…考えないでいようと思っていても、そう簡単に理屈でスパッとはいかない。勿論、頭では終わらせたつもりだ。
だけど、なんの前触れも兆候もなかった…いきなりの終わりだから。まだ濃い、好きの行き場が無い…。
そう。好きだという気持ちを無くすには、今のタイミングはとても濃すぎてしまったと思う。凄く好きな時なのに…。
…半年。この思いが楽になるには一年かかってしまうって事なのかな。
いい思い出になるのか、消したい過去になってしまうのかは人それぞれだろうけど。

忘れられるには、つき合った期間の倍必要だと聞いた事がある。
それって、好きになった年齢も大いに関係あると思う。
じゃなきゃ、何十年も連れ添った夫婦が別れたからといって、残りの人生全てが囚われるとは思えない。…年数が足りない事になる。死ぬまで囚われるってなってしまう…。
むしろ、長年の夫婦なら別れを踏み切った段階ですっきりしているだろう。
…女性側の話だけど、とっくの昔から冷え切っているけど、仕方なく継続してたって。だから、終わる時は、すっきり、さっぱり、みたいな…事だ。


「ねえ?涼葉。一課の課長さんが席を外してまで何だったの?込み入った話よね?」

あ。…はぁぁ。そうだった、どうしようかな。
呼ばれた事、何か聞かれたらって、返しを何も考えて無かった。こんな時、絶対興味津々で聞かれるのに。…うっかりしていた。

「んー…個人情報だから言えないってとこかな…」

これで何とか濁せるかな。

「え、あ、何それ…。解った。
誰かの事、聞かれたんでしょ。○○さんて、どんな子だ、ってとか。
誰か、気になってる女子社員が居るって。そうでしょ。
ねえ、それってもしかして私?」

「あ、は…どうかな…」

掠っているような、全く違うような。違うけど微妙…。

「ま、そんな訳無いよね。
んー、それに近い話って事かな〜?」

「…どうだろう」

「まあいいわ。涼葉のそういう口の堅いところを見込んで話した事だって思っておく」

「何だか…ごめん」

「ううん。こっちも聞いてごめん。話せない事ってあるよね。
わざわざ呼んで話した事だもの。
聞いた私が悪いんだけど、気にしないでね?涼葉がちゃんとしてるって事だから」

「…うん。そう言って貰えると助かるかな」

「うん。ねえ?今日、お昼、何食べる?」

「そうね…」

何だか、それらしい話って事で、思わぬところに着地してしまった。
良かったのかな…。
んー…はぁ。

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