どきどきするのはしかたない

「もう、いいから。信じてくれたって事を言いに来てくれたって事だな」

「はい。すみませんでした…はぁ、それでは、お邪魔しました。失礼します」

「涼葉…、それで、気持ちはどうなんだ。信じられるようになった。それで、涼葉の気持ちはどうなってるんだ?」

「あ…、それは…」

今更、何も言えない。謝ったからと言っても散々疑った。本人が言った事を信じなかったんだ。
…それに、私は七草さんとの事がある。課長だってその事は、本心ではいい気はしてないはずだもの。

私はどこかで、課長も何かあったと思っていた。それで、非がある自分とのバランスが取れるかもなんて、無意識に思っていたんじゃないかと思う。
だから、何かあって欲しいと狡く思っていたのかも知れない。ほら、やっぱりね、って…。
課長は何も無かった、潔癖だった。
私は揺れっぱなしだった。不安で揺れて、流されるように七草さんに惹かれた。その上、望んで…関係を。
…首を振った。

「帰ります。ここに来た理由、その話は終わってますから」

ゴロゴロと嫌な音がし始めていた。
…はぁ、また雨になりそう、…。課長の部屋に来て拗れているとどうも雨になるみたい。早く退散しなくちゃ…。

「まだ終わって無い。話は途中だ。気持ちはどうなってる。その返事がまだだ」

バリバリという音が聞こえて来た。…これ以上大きくなったら怖い…。

「…課長、雨が降り出す前に帰りたいんです」

両手をずっと掴まれていた。

「…離して欲しいんです」

「返事をしてくれたら離す」
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