どきどきするのはしかたない
ザーッと大きな音が聞こえた。
…雨だ。とうとう降り出してしまった。また凄い大雨だ。
「雨になったな。もう、慌てる事も無いだろ」
手を離された。
…雨を待ってた訳では無いだろうけど、これでは天気が課長に見方してるみたいだ。雨だろうと晴れだろうと、返事はしないといけないって事だ。
「…私は、もう課長とは無理です。おつき合いは出来ません。一度、終わりにしたいとも言いました」
「無理だとか、出来ないとか、終わりましたなどという言葉が聞きたい訳では無い。
好きか嫌いか、気持ちを聞いている」
ドクンドクンと煩い。
「勇気がいるか」
…え?
「嫌いという言葉が言えなくて、他の言葉で否定する事は言えても、好きと言うには勇気がいるのか?」
…そんな。…だから、何も言えない。人とつき合う事は私には出来ない。
「簡単だ。言えばいい」
「え?」
「す」
え?
「す!」
「…す?」
「き!」
…。
「き!」
「……き、…」
「そうだ。好き、だ。好きだろ?」
…。
「初めに好きって言う事が大事だろ?終わったのなら始めたらいいだけだ。…何も無いところから始めたらいいんだ。何があっても、俺は好きだ。涼葉の事が好きだ」
…。
「大丈夫だ。何も心配するな。俺を信じられるなら大丈夫だ。同じ事は起こらない。失うなんて無い。不安にはさせない」
「…課長」
「その次は」
…。
「涼葉…」
「課長…」
「ん」
「…………好きです」
「よし」
ドーン、バリバリバリ。
「キャー、ゔゔ…グス」
張り詰めていたモノが一緒にとんだ。
…好きって言っても良かったのだろうか。