どきどきするのはしかたない

「と、とにかく、もう、ベランダから来たり、勝手に侵入して来ないでくださいね」

「さあ、どうだかな。約束はしてる、愛徳、公認だ。開いてたら入るに決まってるだろ」

「そんな約束…」

「嫌だったら、きっちり鍵したらいいんだから。警戒心の問題だ。
危ないと思うなら、引っ越せよ、課長と暮らせばいいだろ」

…確かに。

「…それは、…嫌なんです」

「ふ〜ん」

「あ、あの今夜会った家政婦さん、本当は彼女さんじゃないの?」

「はぁあ?違うって言っただろ?何だよ、蒸し返して」

「何か、違和感が…」

「ほお、違和感ねぇ。……まあ、家政婦は家政婦でも、姉貴だけどな?」

「はぁあ?」

「姉貴は本当に家政婦の仕事をしてる。だから、うちもついでみたいに留守中に頼んでるだけだ。だから嘘はついていない」

会わないから知らないって言ったのに…。

「…私、違うって言われてもずっと彼女なんじゃないかと思ってて。彼女が居る人に、…悪い事しちゃったと思って、彼女にも悪くて、凄くバクバクしたのに…もう。
勿体振らずにはっきりお姉さんだって言ってくれてたら良かったんです。…私の思い込みとは言え、色々誤解の元なんです。もう…」

「だってさ〜、姉貴〜」

え゙!?居るなら居るって、先に言って欲しい。

「…なんてね。こんな時間まで居る訳無いし?ハハハ」

「もう…本当、いい加減な事…えっ」

「あら、来た時はどうも。こんばんは」

…居たー。本当は居るじゃないの…。

「…こんばんは」

くっくっくって、笑ってる場合じゃないんですからね…本当にもう…。どこまで意地悪なの。きりがない。

「ごめんなさいね。私、結婚して長いから、急に七草って言われたらピンと来なくて」

あー、だからかー。納得。
あらぬ妄想はするもんじゃないわね…。
少しは妄想癖を減らさないと、本当に自滅してしまう。
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