どきどきするのはしかたない

「同じ階で引っ越すっていうから、時間外で荷物の片付けを手伝ってるの」

はー、それも、遅い時間に来たって事、納得しました。

「一紫の事、引き続きお願いしますね。私も時々は来るけど」

「あ、いや、私はそんな間柄では…」

「あら。独身でしょ?」

「あ、でも一応…」

「彼?居ても彼でしょ?」

「え?」

「結婚してる訳じゃないんでしょ?」

「は、い。まだ結婚とかは…」

「だったら、恋愛は自由よ。とったとられたは当たり前にある事よ?」

は、…は、は…。何だか話せば話す程、最初の温和しめな印象とは違ってくる感じが…。

「何ていうか…それは情熱的な考え方ですね」

としか、言いようが無いじゃないの。ぐいぐいと圧倒されてしまう。

「あ、うちね、ラテン系だから。父親がそうなの」

ハ、ハーフって事ですか?…通りで。七草さんもお姉さんも美形なはずだ…。はっきり、くっきりした目鼻立ちで、スタイルもいいですもんね。情熱的…ん、納得。んー…ラテンくくりにしていいものか…。

「あ、では、夜分…お騒がせしました。おやすみなさい」

後ろにお姉さんが居ては、言い合う事も出来ない。

「おやすみなさい」

「じゃあ、な」

「…はい」

はぁぁ、まんまと…色々騙された、そんな気分だ。……フ、フフ。またお隣さんですか…。


「おい、待て」

「え?」

追い掛けて来た。

「愛徳、ちゃんと、茶化さずに言っておく。さっきも言ったけど、今、課長が居るからって、俺は諦めたりしないから。好きは一度貰ってるし、取り消されても無い。攻める事もやめない。だからそのつもりで。
じゃあな。
あ、今夜は行かないから、姉貴がまだ居るから今んとこ多分無理だ」

え…、あ、ちょっと。…ん゙。
この、瞬時にするキスも、天性のモノなのかな。これは納得して済ませられる事では無いけど…。
…開けてあった事、やっぱり知ってたんだ…。

「課長の事…、信じるって決めたのか?」

……え?



【課長、遅い時間ですけど、今から行ってもいいですか?】

【構わないが、大丈夫か?遅いし、俺が行こうか?】

【いえそれは…。ここに居る事が危険ですので】

【危険?何だかよく解らないけど、待ってるよ。気をつけて来るんだぞ?】

【はい】

【明日は休みだ。来たら帰さないぞ】

【はい】
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