どきどきするのはしかたない
「俺も、中々寝付かれなかった」
今は食後の珈琲を飲んでいた。
「涼葉からメールが来るちょっと前に起きて、のろのろと着替えを済ませていた」
…何となく、一緒に欠伸を噛み殺していた。
「あ、…クス。課長のそんなとこ、初めて見ました」
何もかも初めてな事ばかり。
「んー、眠い…」
「フフ、お腹が満たされたからですね」
「それもあるな」
これからどうするのかな。
珈琲もそろそろ飲み終わる。
「出ようか」
「はい」
お店を後にした。
小さいトートバッグを少しブラブラさせながら、課長の斜め後ろを歩いた。
「うちに帰ろうか」
「はい」
課長の部屋。
手を繋がれた。何だか急に恋人…。
「涼葉、夏休み、どうする?」
…二人の?
「え?あ、…いや、まだ何も」
何か、計画でも、もうしてるのだろうか。
「どうだ?東北の祭、行って見ないか?」
「東北ですか?」
行った事がない。
「うん、仙台の七夕祭…、秋田の灯燈祭に、青森のねぶた祭…。8月のお祭りだ。知ってるだろ?色々ある」
…はぁ、一日では楽しめないと思う。これはもうどういう風になろうと旅行になる話だ。
「三箇所じゃないですよね?」
「うん、どこか一箇所にする。そうした方がゆっくり出来るだろ」
「そうですね。私、まだ東北には行った事がありません。だからどこでも。
七夕祭なら、仙台ですし、1番手前ですよね。綺麗なんでしょうね、色鮮やかな飾りとか」
ニュースでは見た事がある。
「そうだな。仙台なら割と時間も掛からず行けるな。
七夕祭がいいか?良ければそうしよう。前日に花火があるようだから、少なくても5日から6日迄。同じ日に休みを取ろう」
あ、もう旅行まで、行き先まで決めちゃった。
「はい」