どきどきするのはしかたない
「涼葉、明日休みだ。今夜、泊まらないか」
…あ、…課長の部屋に初めてのお泊りになる。
「はい」
何も…用意なんてしてない。
課長の部屋に帰った。
ソファーに一緒に腰掛けた。こんなにして一緒に居るなんて、無かった。
何もかも、恥ずかしいような気がする。…もっと恥ずかしい事はしてるんだけど。それとは違う。
課長の部屋も、こうしてじっくりと見た事は無かったかも知れない。
知っているのは寝室と浴室…。
リビングはチラッとしか知らない気がする。
何かそう思うと…変なの…。
「涼葉。…はぁ、何だか、妙な感じだな。何て言うか、照れ臭くなるな。
涼葉の事は知ってるのに。色々、した事が無い事ばかりで」
「はい」
私もそう思っていたところです。
「明るい時間に二人で会ってるからだな」
「フフ、多分、そうだと思います。
明るい時間に会うのは、会社で、一課の課長さんとしてですから」
「そうだな。涼葉、少し寝ないか?」
「え?」
「ん?あ、違うぞ。昼寝の事だ」
…。
「少し、こうして、横になろう」
課長はそう言って、私の身体を支えながら横にした。
手の届く場所にハーフケットが畳んで置かれていた。
それに手を伸ばし、二人の身体にふわっと掛けた。
「何だか眠れそうだ…」
抱き寄せられた。
「…私も。直ぐ寝てしまいそうです」
課長はもう瞼を閉じていた。
「…ん…寝よう。二人共、寝不足だな」
回された腕が背中を撫で、トン、トン、とする。
瞼が直ぐ重くなった。