どきどきするのはしかたない

課長は身体を半身にして私の頬に手を当てていた。
少しだけ、横から上半身が重なった。
…ドクン。大きく撥ねた自分の鼓動がはっきり解った。

課長の唇が角度を変え触れる度、更にドクドクと早くなるのが解った。
唇が触れたまま頭を押さえられ抱き起こされた。向き合って座っても尚、食まれ続けた。
課長の身体に腕を回した。
ん…何だか…資料室での事、思い出してしまう…。あの時も凄くドキドキして、課長とのキス…初めてで…始まりだった。
今みたいに凄く甘いキス…。

顔を包み、深く求められる口づけに堪らず首に腕を回した。課長の唇は時々耳に触れ首に触れ、吐息を漏らし…、また唇を食んだ。
顔を包んでいた手を離し、抱きしめられて唇は離れた。
見つめられた。

「…おしまい」

…ぁ、ぁ、え…?

「ん?もっとするか?」

あ、えっと…。その…。

「フ。この続きは夜にな。今からしたら大変だ」

あ。は…。

「したくなったって言ったのは、この事だよ」

そう言ってチュッと軽く唇が触れた。
やー、恥ずかしい。…私、期待し過ぎてたのかな。

「フ。…んー、珈琲でも飲むかな。
涼葉が持って来てくれたお菓子、食べようか」

頭に手を置かれた。
ゔ…欲しそうな顔してなかっただろうか。…恥ずかしい。両手で顔を覆った。
そんな私を横目に、ゔ〜んと唸って課長が伸びをして立ち上がった。

「寝起きの猫の気持ちが解るな。起き上がったら毎回身体伸ばしてるもんな。
あ、アイスティーが良かったらアイスティーにするし、珈琲でアイスが良かったらそうするし」

「私、アイス珈琲がいいです」

頭をすっきりさせなくちゃ。

「ん、じゃあ、あっちに行こうか」

「はい」

軽く畳んでハーフケットを置いた。


一緒にキッチンに行った。
グラスを出して氷を入れるように頼まれた。

「…涼葉が煽るから、止められなくなりそうだったぞ?」

「え」

煽るって…。そんな…欲しそうな顔してたのかな…。恥ずかしい…。

やかんをコンロにかけた。お水よりお湯から作るのが好きだ。

「…あんな顔は、夜だけにしてくれよ?」

冷蔵庫から出された氷を受け取り、グラスに入れていたら後ろから肩に顔を乗せ腕を回された。
あ、…こんなのは。煽っているのは課長の方だと思うけどな。
したくなったって、何だか誤解しそうな事を言って…あんなに甘いキスをしておいて。…勘違いするに決まってる…。もう、…。
氷が上手く掴めないじゃないですか。
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