どきどきするのはしかたない
こうして会社を休んだ私は、週末まで課長の部屋で過ごす事になった。
着替えようと身体を見れば、無惨にも凄い色になっていた。
痣は、こんなに早く色が出るモノだったんだと知った。
これが明日明後日となるに連れ、更に黒く濃い、醜い物になっていくんだ…。
「…痛いか?痛いよな…大丈夫か?
こうして見てしまうとどこも痛々しいな…」
課長は固く絞った熱いタオルで押さえるように身体を拭いてくれていた。
時々口づけるオマケつきだ。
「大丈夫です。見た目と違って痛みは薄れて来てますから。痛み止めも効いてます」
「そうか、…こんなになる…酷い事をするなんて。警察からはまだ何も言って来ないのか?」
「…まだ。防犯カメラがあるから、写っていれば何かしら解るんじゃないかって、言ってました」
「そうか…、そうだな…。駅だから防犯カメラがあるな」
「はい」
「誰でも良かったとか言うような奴じゃ無いだろうな…。
捕まえてみたら訳の解らない事を言ってるとか、よく聞くじゃないか。
犯罪を犯す方も巧妙なやり方をするというか」
「どうなんでしょうか」
だったら先頭に立つ人を押すんじゃないかな。そう考えたら、やっぱり私と認識しての事って、なりはしないだろうか。
「…涼葉…ごめん、痛いかも知れないが…抱きしめさせてくれないか」
まだ着替え途中の私の身体を腕の中に抱き込んだ。
…課長、どうしたのだろう。
「……涼葉…、もしかしたらって…、心当たりが無い訳じゃ無いんだ…」
「え?」
「もし、そうだとしたら、涼葉がこんな事になったのは俺のせいだ」