どきどきするのはしかたない

下向きの矢印が点滅しながらリレーしていた。マンションのエレベーターなんてあっという間に着く。
下に着いたら、じゃあ先に行くからと言って、七草さんは行ってしまった。
本当にエレベーターまでだったんだと思った。
居なかった事、よく知ってる…。生活音かな。ベランダにも出て来ないし、水まわりの音も、扉の開け閉めする音もしない訳だから。
気にしていたら解る事かも知れない。
…気にするかな。まあ、一人暮らしの女の部屋が静かだと、知らない仲ならともかく、ちょっと知り合いだから、気に掛けてくれていたのかも知れない。
…何かあったのかも知れないって。

…犯人って、…言ってた。…恐い目に遭った事、七草さんは知ってる。


「あ、涼葉、おはよう。…ねえ、ちょっと…大丈夫なの?もういいの?
二日休んだだけなのに、休みもあったから凄い会わなかった気分よね」

…その通りね、間違いない、久し振りだ。

「大丈夫よ。もう、朝から汗だくになっちゃった。同じ距離で大して歩く訳じゃないのに、いつもと歩き方が違うだけで疲れちゃった」

「捻挫したんだって?…もう、何してるのよ。あと、風邪もひいたって。
課長が、みんなも夏風邪には気をつけるようにって、言ってたよ?」

…そういう話になっているのね。

「ごめん。もう治ったから風邪は移らないからね」

「いいのいいの。移ったら移ったで休むから」

…。

「じゃあ、先に行ってるね」

ロッカーからミニバッグを出し、鍵をかけると行ってしまった。

はぁ。さて…。さっと脱いでさっとブラウスを着ないとね。スリップから透けて痣がバレてしまう。
…DVなの?とか、あの子なら見たまんま言いそうなタイプだもの。

だけど、自意識過剰ではないけど、駅のホームで起きた事故?事件?なのに。全くテレビのニュースになって無い事がちょっと不思議だった。
他に大きなニュースも無かったと思う。
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